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2024年度「アスリート・指導者セカンドキャリア助成金」における報告について

  • 投稿公開日:2025年6月2日
  • 投稿カテゴリー:その他
■対象者
(1)所属:国際武道大学
(2)氏名:荒川 雅俊
■支援プログラム
空手道に関する調査・研究の支援
■実績、成果報告について
修士論文「第51回全日本空手道選手権大会における得点技と過程動作の分析」を完成させ、国際武道大学大学院を修了することができた。
本研究は、第51回全日本空手道選手権大会の男子個人組手57試合を対象に、攻撃技とカウンター技および過程動作(攻撃モーション)の特徴を明らかにすることを目的とした。分析の結果、攻撃技・カウンター技の双方の得点技として最も多かったのは上段逆突きであったが、得点上位技の有効率には有意な差がなかった。また、過程動作においては攻撃モーションなしの方が得点技数が多く、攻撃モーションありでは「刻み突き→上段逆突き」が最多だったが、有効率には差がなかった。これにより、本大会で繰り出された得点技と、得点に至るまでの過程動作の実態が明らかとなった。
■空手界における影響について
本研究は、空手道組手競技で繰り出される技とその過程動作に着目した知見であり、今後の研究や指導実践の基礎資料として貢献できると考えている。特に過程動作に関する知見は、技術だけでなく「戦術」を構築するうえでも重要であり、選手のみならず指導者にとっても有益な情報となり、競技力向上の一助となるはずである。
近年、空手道のパフォーマンス分析に関する研究は増加傾向にあるが、依然として他の武道と比較して研究数が少ない。その背景には、競技者・研究者・指導者がそれぞれ独立して捉えられている現状があると考えられる。私は、競技経験や指導経験を研究に活かし、実践と研究を結ぶことで空手道界に貢献できる人材が今後さらに増えていくことを期待している。
■主な活動内容と費用
(1)大学院授業料:78万円
■成果物
第51回全日本空手道選手権大会における得点技と過程動作の分析(PDF)

■対象者
(1)所属:日本体育大学大学院
(2)氏名:大徳 紘也
■支援プログラム
国内外の大学院進学の支援
■実績、成果報告について
アスリート・指導者セカンドキャリア助成の活用も2年目となり、今年度の大きな成果として博士号(コーチング科学)取得がまず挙げられる。博士号取得に向け空手組手競技に関する学術論文を2題投稿し採択され、国内学術学会にて3演題を発表した。いずれの研究も組手競技における戦略戦術に関するコーチングを題材にした研究であったが、各論文並びに学会発表において、空手競技に限らず様々な競技におけるコーチング実践場面において活用できるコーチング方法
と評価を得ることができた。研究発表を通し空手競技における指導者のコーチングスキル向上に寄与すると考えている。
■空手界における影響について
空手競技を研究するということ自体が未だ認知度の低い活動であるが、博士号の取得によりスポーツ科学という広い分野の中で、空手を科学的に明らかにすることが社会的に価値があると認められたと考えている。つまり、空手を研究するという客観的に評価できる人材の育成は、空手界に限らず様々な場面において必要性の高い人材であることを示せた。また、空手の経験を活かした取り組みが誰にでもできるということを、本助成事業を通し証明することができたと考えて
いる。スポーツデータサイエンスやAIの活用に関する学問が発展する現代において、空手競技を皮切りに様々な取り組みを通した、新たなステップアップに繋げられる可能性があることを示せた。
■主な活動内容と費用
(1)研究活動費:77万円
(2)学会参加費:13万円
(3)学会論文掲載費:8万円 など
■成果物
2020東京五輪空手組手競技における得点経過に着目した試合展開の特徴※武道学会発表スライド抜粋(PDF)